あ、売れる。
彼らのはじめての音源「在り来たりな日々」の開始5秒、そう感じた。
音楽視聴サイトEggsで公開されるとすぐにデイリーチャート1位。
「SCHOOL OF LOCK!」での全国ラジオ放送。
東京、名古屋、大阪、各地のイベントには引っ張りだこ。
今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのバンドだ。
anicaは大阪で結成された男子4人組バンド。
全員が高校卒業したての18歳というから、驚きだ。
曲を聴いてビビッときた。
…anicaに会いたい。
…会って話がしたい。
…ねぇ、構ってよ。
…私のこと好き?
メンヘラになりながら、会いたくて震えながら、
バンドに取材交渉を行った。そしてanicaにとって
初となるメディア取材を行うことが出来た。
1 . anica結成の話
anicaは2017年に大阪で結成された。
メンバーは
Gt/Vo. 勝部稜大
Dr. 田中咲音
Bass. 大山聡馬
サポートGt. リョウタ
からなる。
インタビューはGt/Vo勝部は意外な一言から始まる。
「元々やっていたバンドが解散するときに、
もう音楽は辞めようと思ってたんです。」
僕は若くして才能に溢れた人を見ると、きっと悩んだりせずに
自分の思うままにやってきたんだろうなと思ってしまう。
だからとても意外だった。
それから勝部は、弾き語りでライブを行ううちにやっぱり音楽がしたい、
バンドをしたいと思うようになった。
「一番初めに加入したのはドラムの咲音でした。咲音とは地元のライブハウスでよく会う関係で、一緒にやったら楽しそうだなと思って誘いました。」
たしかに咲音の笑顔は、見ると元気になれる。
そして咲音の同級生だったベースの聡馬、
共通の知り合いだったリョウタがサポートとして参加する。
「咲音に、どうせ高校留年するんやったら、
時間あるんやし一緒にバンドせーへん?って誘われました。」
聡馬は咲音にこう誘われたらしい。咲音のことを、”デリカシーのない奴”と呼んでいたことが印象的だった。
そして、2018年の1月1日。元旦。
anicaは結成されたのだった。もしかしたら、今のanicaの勢いには
日本の神さまのパワーが働いてるのかもしれない。
だが、そうとしか思えない「ナニカ」がanicaにはある。
(これ言いたかった。)
2 . ライバルの話

anicaに、負けたくないバンドは?という質問をしてみた。
「Re:name、堤信二…。やっぱり、同年代には負けたくないですね。あ、でも、それよりも地元の先輩に負けたくないです。」
せ、先輩…?
「かっこいい姿をたくさん見てきた分、やっぱり超えて行かないといけないという意識は常にあります。HEADLAMP、アルコサイト、かっこいい先輩ばっかりいたので。」
バンドマンは2つに別れる。戦うバンドと、戦わないバンドだ。anicaはきっと後者で、これからもずっと戦い続けるバンドだと感じた。
常に上を見て、自分たちの未熟さを感じ、ぶちのめされて。よく切れる剣は、強い力で鉄をぶつけなければ完成しない。まだ18歳だ。可能性しかない。
質問は続く。
3 . 曲作りのこだわりの話
「生活感にはこだわっています。日常に溶け込んでいくような。
だから、あんまり難しい言葉も使わないようにしてますね」
anicaの曲を聴いたとき、なぜか懐かしかった。
いい音楽は情景を連れてくる。
anicaの「在り来たりな日々」には生活の匂いがする。
晩ご飯の準備をする母の背中、ゲームをする友達の部屋。
好きな人に会いに行く電車の中。
この曲がどうやって生まれたのか聞いてみた。
「これはラブソングを作ろうと思って、作ったんです。昔、彼女と付き合ってた頃に感じたこととか思ったこととか。」
僕の18歳の思い出・・・・。
ん〜・・・・家の共有のパソコンでエッチな動画を見過ぎて、
ウイルスに侵入され、母に叱られてたこと。
ああダメだ、ダメだ。
初回でぶっ込み過ぎだ!
何を質問しても尊敬の言葉しか思いつかない。
負けるな、モリクラ(20歳・彼女無し)。
4.バンドマンとしての理想像
最近SNSでバンドマンのあり方が議論されている。
セトリ問題など。バンドマンとしてどうありたいのか、投げかけてみた。
「曲を聴いて、出てくるイメージと等身大のボーカリストになりたいです。」
「前やっていたバンドがアツいことを言うバンドやったんですけど、なんか違うなと感じて、自分は自分のまま、背伸びせずにやろうと思いました。」
曲から溢れ出る納得感はこれか、と思った。
anicaの楽曲からは、18歳が何言ってんだよ感を一切感じない。
だから、スッと身体に入ってくる。
合わせて、こんなことも聞いてみた。
anicaとしてやりたいこと。
「そうですね、いまが、全てです。やりたいことを全部やれてるので、anicaをずっとやり続けること。誰が抜けたとしても、1人になっても、anicaを背負っていきたいです。」
自分のやりたいことはこれだ。
あとはやり続けていくだけ。
18歳の彼らに可能性を感じずにはいられなかった。
関西バンドシーンのスーパールーキー、anica。
冒頭にも言ったが、未確認フェスティバルなどの大型コンテストにもエントリーをしている。爪あとを残して、バンドシーンに風穴を開けて欲しい。ここだけの話だが、夏にシングルをリリースするらしい。それも楽しみだ。

●anica 公式Twitterはこちら。
●anica 公式Webサイトはこちら。
(オマケ) anica Gt/Vo勝部、一問一答。
Q.音楽を好きになったきっかけは?
「Mr.Childrenを聞いたこと」
Q.今好きなバンドは?
「back number」
Q.好きな映画は?
「ソラニン」
Q.好きな漫画は?
「おやすみプンプン」
Q.よくしてもらってる先輩は?
「ニアフレンズGt/Voあつしくん」
Q.曲ができないときにすること
「やったことないことをする」
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writing by モリクラヒロキ(@1997design_)
photo by 稲岡優哉(@yuya41833659)
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